TRIANGLE
メディア / architecturephoto
物件データ /
所在地 : 長野県大町市
主要用途: 専用住宅
家族構成: 夫婦+子供2人
敷地面積: 224.02㎡
建築面積: 97.90㎡
延床面積: 140.57㎡ ※半外部含む
規模 : 木造2階
竣工 : 2022年10月
構造 : 円酒昂、西江太成 / 円酒構造設計
施工 : 丸山博之 / 武井組
(C)田中克昌
長野県大町市にある敷地は北アルプスの麓。山に囲まれた気持ちの良い風景が広がるが、幅員の広い幹線道路に面しており交通量が多い。加えて隣地にはこれまで施主が住んでいた実家があり、施主が離れることを機会に親世帯との程よい距離を求めていた。
まずは隣接する道路や実家との関係を緩衝するための道を敷地内に作り、玄関は道路と反対に設けることにする。すると敷地内を旋回する動線が生まれる。室内に入ると1階は多方向に視線が抜け、2階は奥に行くにつれて私的で閉じた空間へと切り変わる。大きな窓は光の変化と共に敷地との繋がりを生み、小さな窓は山や空を切り取って敷地の先の風景を見せてくれる。
住宅内部には4つの床レベルがあり、半地下と1階、中2階と2階には、700mmの段差がある。段差は道の傍らに居場所を作り、床同士のスリットが上下の空間に繋がりを与える。道は室内外を越えて渦を巻くように立体的に続き、遊歩道へとなり変わる。
家型のボリュームを裁ち切った斜めの壁は、実家や道路との関係をそらして視界を広げる。天井高くボリュームを切りとった玄関ポーチは、アルプスが望める私的な庭となる。2階の足元を切り落としたスリットは、ひっそりと1階や外部の雰囲気を取り込む。これらは完結されたボリュームを崩した、いわばノイズだが、それは周辺への発見を持続させ、日常と自然との関係を変化させる。
リアルな日常がたちはだかると自然に対して盲目的になってしまいそうだ。施主が求めた程よい距離とは断絶ではなく、同じ地にこれからも生きていく家族の風景を作ることである。北アルプスのある雄大な風景を意識に据えながら、一つの地に押し込められた日常を解くように整理したこの住宅は、まるでランドスケープを計画したような住宅である。